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ピーカンの薬師岳・最高! [山行]

○平成25年10月12日(土)
自宅7:10-15:25有峰ハウス
○平成25年10月13日(日)
有峰ハウス4:55-5:15折立ヒュッテ 5:30-6:05標高1450m 6:15-7:20三角点7:30-8:40五光岩ベンチ8:45-9:35太郎平小屋10:10-11:00薬師平11:05-11:55薬師岳山荘12:20-13:15薬師岳13:30-14:15薬師岳山荘
○平成25年10月14日(月)
薬師岳山荘5:15-5:45薬師岳6:10-6:30薬師岳山荘7:05-7:35薬師平7:45-8:30太郎平小屋8:35-9:10五光岩ベンチ9:20-10:15三角点10:20-11:35折立ヒュッテ-自宅
歩行距離:23.4km 所要時間:14時間25分(歩行:11時間50分 休憩:2時間35分)
走行距離:1,024km
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 北アルプスで登っていない百名山は、黒部五郎岳、水晶岳、薬師岳の三座である。遠くて奥深い処だと思っていたので後回しになっていた。この三座のうち薬師岳は富山県にあり自宅の千葉からは遠いが折立の登山口からは山小屋1泊で往復できるので、10月の連休で薬師岳に行くことにした。

 宿泊予定の薬師岳山荘は連休がシーズン最後の営業日となるので混雑が予想された。混雑を避けるためには平日に行くのがベストだが働いている身としてはそんなに休みを取ることはできない。なんとかやり繰りし11日(金)休みをとり、出発は10日(木)夜、11日(金)、12(土)で薬師岳往復を予定した。下山するのは12(土)昼過ぎとなりこの足で千葉まで車で帰るのはきついので諏訪で1泊することにしてネットでホテルを予約した。  気になるのは天候の情況だ。週末に近づくにつれ悪くなり、11日(金)は何故か薬師岳のある北陸地方だけが天気が悪い。
 せっかく遠くまで行くのに天気が悪いのだけは避けたいので日程を1日ずらし、出発を11日(金)夜、登るのを12日(土)早朝として、とりあえずホテルはキャンセルした。加入している有料の山の天気専門サイトでチェックすると、12日(土)は稜線で暴風雪、13日(日)朝は霧で晴れるのは午後からとの予報であった。ガーンである。一方薬師岳山荘のホームページの記事では連休は良い天気に恵まれるとの記事がでていた。
 どちらを信じるか迷ったが、やはり現地の情報が信用できるのではないかと思いつつ、出発前の11日(金)夕方、薬師岳山荘のホームページの記事を見ると更新された最新版では連休の天気は悪いとなっていた。やはり山岳専門の気象予報士はプロである。たいしたものである。有料でお金を払う価値は十分あると感じた。

 そこで再度日程を1日ずらし、13日(日)に登ることにした。連休の行楽地までの道路は混雑が予想された。ネットで渋滞予測を調べると最短ルートの中央道は45kmの渋滞発生、松本インターから上高地へ行く国道158号も渋滞が予想された。色々検討した結果、関越道から上信越道さらに北陸道を経由する迂回ルートで行くことにした。距離は約500km、最短ルートの中央道経由より100km長い経路となる。
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 関越道の藤岡JCTまでは断続的に渋滞があったが、ここを過ぎると順調に走れた。小布施PAで休憩して外にでると涼しいというより寒いくらいだった。空は晴れており本当に山は暴風雪なのかと思ったが、妙高高原付近から曇りだし新潟県に近づくにつれ雨が降り出した。北陸道に入ると完全な雨模様。長いトンネルが多くワイパーの切り替えをしながら走った。立山ICで高速を出るころには雨はあがっていた。有峰林道を経て有峰ハウスに着いたのが15時15分、駐車場、道路は濡れており雨があがったばかりのようだった。
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 有峰ハウスは富山県の施設で有峰における森林文化活動や薬師岳登山などを目的とした、個人や家族、グループ、団体などの宿泊所として提供されている。夜8時頃雨が降り出した。屋根をうつ雨音がやけに大きく明日晴れることを祈り布団にくるまった。朝4時に起床、外はまだ暗く窓を開けて空を見上げると満天の星空であった。良かった今日は期待できる。お握りの弁当を朝食代わりに食べ、4時55分有峰ハウスを出た。

 折立ヒュッテの駐車場まで20分かかった。まだ暗い中支度をしてヘッドランプを点け5時30分出発した。登山道を登り始めるとすぐ薄明るくなりヘッドランプの必要は無くなった。登山道は木の根が露出し傾斜は多少きついが平ヶ岳の台倉尾根ほどではなく歩きづらいというほどではない。

 30分ほど歩いたらアラレちゃんの看板があった。何故アラレちゃんなのよくわからないが心が和む。著作権はどうなっているのだろうとつまらないことが気になった。
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 展望のない樹林帯の中をさらに進む。駐車場に着いたときは寒かった。歩いていると暖かくなるが汗をかくほどではなくコンデションは上々。気持ち良く歩くことができていた。

 三角点に着くと展望が開けていた。天気は文字通り雲一つ無い快晴だ。薬師岳に登るまでこの状態を保っていてもらいたいものだ。
 北東の方角にプラミッド形をした剣岳が見えていた。直線でここから20kmの距離だ。
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 三角点を過ぎるとなだらかな尾根道となる。登山道は木の枠に石が敷き詰められていて、石が整然と並べられているところと乱れているところがあるが全体的には良く整備されていて歩きやすかった。

 登山道は東から東南東に向かっているので常に太陽が前面にある。眩しいので下を向いて歩いていたが、ふと顔を上げると前を行く妻と太陽が重なり太陽に向かって歩いているような構図になっていた。
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 薬師岳には昨日降ったらしい雪が積もっていた。やはり山の天気予報は正しかったようだ。
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 五光岩ベンチ付近からは前方に太郎山が見えている。
 この写真の左には、薬師岳から続く立山や剣岳が、振り返ると富山市街と富山湾が見えた。天空のトレッキングコースと表現した方がいたがそのとおりだと思った。
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 太郎平手前から木道となった。木道に積もった雪が溶け始めて油断すると滑る。コケないよう木道の上の横桟に足をかけ慎重に進んだ。
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 4時間で太郎平に着いた。今までは風は感じなかったがここでは冷たい風が吹いていた。歩いて暖かくなっていた体はすぐ冷えるので、ジャケットを着込み昼食をとった。

 太郎平から見た薬師岳。正面から少し左の頂が薬師岳で、下って登ったところが北薬師岳。
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 ついパノラマにしてしまった。右から黒部五郎岳、双六岳、三俣蓮華岳、水晶岳に至る稜線である。丹沢の展望は山々という感じだが、ここからの展望は山々というより山岳という表現が合っている。
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 30分ほど休憩し10時10分太郎平を出発。緩い傾斜を下ると薬師峠の幕営地に着いた。いく張りかのテントが設営してあった。幕営値を過ぎると急なガレ場となる。雪が積もって溶け始めているが登りなのでそんなに危ない思いはしなかったが、下りでは注意が必要だろう。

 ガレ場を登り切り薬師平に着いた。薬師平に大きなケルンがあった。こんな大きなケルンにするには大変だ。何個の石が必要になるのだろう。
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 薬師平から50分で薬師岳山荘に着いた。今日の宿泊地である。受付をすませ、荷物を整理しサブザックにナビ、カメラ、少しの行動食を入れ薬師岳に向かった。

 北西から吹いてくる風が冷たく登っていても体は温まらない。登山靴が寒気を通すので足も冷たく少し痛かった。ガレ場を30分登ると薬師岳手前のピーク、避難小屋跡に着いた。昭和38年1月に愛知大学の学生13人が猛吹雪に会い薬師岳手前300mで引き返した際ここでルートを誤り全員遭難死したところだ。
 私も昭和43年1月、高校2年の冬に鳳凰三山に行ったとき、一人が動けなくなり二晩ビバークを余儀なくされ遭難を身近に感じたことがあったので人ごととは思えなかった。その時一人がツェルトを持っていたのでなんとかビバークを切り抜けられた。これ以来どんな山でもツェルトを持っていくことにしている。

 薬師岳はここから約530m先である。

 13時15分薬師岳頂上に着いた。天気快晴、360度の展望。まさにピーカンの薬師岳、最高である。
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 なぜ快晴のことをピーカンというのか調べたら次の説があった。
・広辞苑では映画業界の俗語となっていた。ピーカンの語源は快晴の空がタバコのピース缶の色に似ていたという説、快晴の日はカメラのピント合わせが多少曖昧でも完全に合うことから『ピントが完全』を略したとする説。
・単純に太陽の光が「ピーンと届いてカンカン照り」を略したという説。
・オペラ曲「ある晴れた日に」のピンカートンに由来との説。
本当のところはわかりません。

 登ってきた避難小屋方向。左手に槍ヶ岳、穂高連峰が見える。
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 正面が黒部五郎岳、黒部五郎岳を挟んでいる二つのうち右が御獄山、左が乗鞍岳。乗鞍岳の左のとんがりが笠ヶ岳。
 黒部五郎岳、来年は登るぞ。
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 正面、赤牛岳から水晶岳の稜線。この方角から朝日が昇ってくる。
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 登るときはなかった雪だるまがあった。初雪だるまかな。
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 絶景である。夕日と雲海と雲海の上に頭が見える白山。
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 白山はここから約80kmの距離だ。きっと白山にいる人もこの綺麗な夕日を見ながらあれが薬師岳だと言っていることだろう。小屋泊まりだと日帰りでは見ることができないこの景観を堪能することできるのが魅力である。 明日の朝は薬師岳で御来光を拝むことにする。

 薬師岳山荘は混雑していた。夕食の一番手となり16時30分食堂の席に着いた。この時間でないと最終組が遅くなるので早くせざるを得ないのだろう。それにしても早い、明日の朝食までが長い。
 食事の時、今日が最終営業日ということで、山小屋の女将から挨拶があり、薬罐に入れた熱燗の振る舞い酒とつまみ少々、デザートのサービスがあった。感謝である。
 寝る部屋は一人分の幅が60㎝程度だった。幸いにして壁際で窓側の場所を案内されていた。壁から二列目の人とは足と足が向き合っているが、二列目と三列目の人は頭と頭が向き合っている。足と頭が向き合うよりいいと思うがいびきの大きい人と隣り合った人はとんだ災難となる。混雑すると気が立ってくるのか、寝る場所のことでトラブルがあり一人が別の部屋に移って行った。
 そういえばトノサマバッタは混雑すると脱皮する毎に色が黄色や黒に変化し違う種類のサバクトビバッタになるという。混雑でバッタの種類が変わるくらいだから人間も混雑のせいで気性ぐらい変わるのは仕方ないか。
てなことを思いながら21時に消灯となり、長い夜を覚悟して布団にもぐった。明日は4時起床して4時30分の出発予定だ。

 2時頃目が覚めトイレに行った。その後寝て目が覚めたら5時になっていた。マズイ、寝過ごした。妻を起こして支度をしたら5時30分になっていた。小屋の外に出たら昨日より暖かかった。日の出は6時前なので薬師岳までは行けない。手前のピーク、避難小屋跡まで登ることにした。
 登ってみると空は曇っており、あたりは薄暗かった。既に数人の人が御来光を待っていてその内のおじさんが「もう日の出の時間が過ぎている。御来光は雲に隠れてみえないのでないか。」と言っていた。かなり自信ありげだったのでその言葉を信じて、見えないなら下ろうかと思って下りかけたら、妻が「あっ、見えた」と言った。後ろを振り向くと、赤牛岳の向こう側、三ツ岳と野口五郎岳の稜線から朝日が顔を出し御来光を拝むことができた。
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 薬師岳山荘、その向こうが太郎平、太郎平から右に続く緩く長い尾根が今日の帰り道。結構長い道のりだ。昨日見えた白山はかすんで見えなかった。昨日の天気に恵まれたのは本当にラッキーだった。
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 薬師岳山荘に戻り、朝食をすませ7時5分出発。途中雷鳥に出会った。体の下の方が白くなっていた。今回の初雪で白くなってそれまでは茶色だったのかな。色が変化する様子を見たいものだ。
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 風もなく暖かい。薬師平に着くと少し汗ばんできたので、長袖シャツを脱ぎ、毛糸の帽子から寅壱のタオルを頭に巻き夏山仕様に変えた。
 寅壱とは建設、土木工事の作業服と関連商品を販売しており、特に鳶装束は「作業服のアルマーニ」と呼ばれているブランド品なのである。タオルも真ん中に「寅壱」の刺繍、厚手のタオルであるが頭に巻きやすいように結ぶ箇所は生地が薄くなって結びやすくなっている頭巻きに配慮したすぐれものなのである。

 薬師平からの下りはガレ場で日陰が多く雪が残っていたが、まだ溶けていないので滑る心配はなく順調に歩くことができた。幕営地を過ぎ、木道を進み太郎平に着いたのが8時30分、5分休憩して五光岩ベンチに9時10分に着いた。昨日見えた剣岳はかすんでいて見えない。やはり昨日の天気が最高だったようだ。
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 折立から登って来た人とすれ違ったが、山小屋が閉まるので幕営の装備を持っているのだろうかザックはいずれも大きく重そうだった。年の頃は私とあまり変わらない人がいたので、体力的にテント泊は無理だとあきらめていたが再度挑戦してみる気になった。

 三角点を過ぎ、樹林帯を抜け駐車場に着いたのが11時35分。膝の痛みもなく快適な山行だった。
 丹沢、十二ヶ岳と二週続けての山行の成果だ。家に帰って二、三日経過しても筋肉痛はなかった。

 昨日はこの赤シャツの上に2枚多く着ていても寒かった。山の天候変化は注意が必要であることを実感した。
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 帰りのルートをナビで検索したら往路と同じく北陸道経由であった。渋滞予測するナビなのでやはり最短の中央道経由は渋滞するのだろう。中央道では過去2回スピード違反で覆面パトに御用になったことがあり、中央道と山梨県警は相性が悪いのでナビが選定した北陸道経由で帰ることにした。
 途中、亀谷温泉で温泉に入り富山市内で昼食をとった。北陸道から上信越道に入り佐久平PAまでは順調だったがそこから先は断続的な渋滞で自宅に着いたのが22時であった。明日は仕事で5時30分に起きなくてはならいが、この前山梨に行った時に買ったワインを飲んだ。つまみはなかったがおいしかった。疲れた。飲んだらすぐ眠れた。

 私の思う快適な登山の条件は、①天気晴れ、②混雑なし、③渋滞なしである。今回山小屋は混雑、登山口までの往復は渋滞であったが、①の天気が良くてその景観があまりにも素晴らしく山小屋が混雑しようが、渋滞で帰りがおそくなろうが十分満足でき、後々まで忘れることのできない山行となった。
 天気が良かったのは日程の設定が良かったからだが、山の専門天気予報を知らなかったらおそらく12日(土)に登っていて暴風雪に遭遇していただろう。山の天気の気象予報士猪熊隆之さんありがとう。
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いっとく

こんばんわ、mogurinさん。
天気が良くて何よりでした。

しかし、百名山の頂上から見る景色は、やっぱり絶景物が多いですね。
特に、現地で見られた夕日と雲海の感動は、本当に一生ものだと思います。
標高が高いので既に雪景色で、これもまた綺麗です。

でも、車での移動(距離や時間)が大変そう。
また、歩行距離や歩行時間も凄いですね。



by いっとく (2013-11-07 19:29) 

mogurin

いっとくさんコメントありがとうございます。
気合いを入れた山行だったので特に感激でした。
何やかやでブログアップが遅れました。
いっとくさんは即アップしているので感服してます。
by mogurin (2013-11-07 21:06) 

ゆうくん

訪問ありがとうございました。
頂上からの景色は素晴らしいですね、流石は100選に選ばれるだけありますね、来年狙ってみます。

by ゆうくん (2013-11-10 23:16) 

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